変えるには

 「世界を変えたい! 社会を変えたい!」と思っています。僧侶になってからそんな考えを持つようになったのか、少年・青年の頃からそんな傾向があったのか、さっぱり憶えてはいません。

 昨年の四月より、八王子市内のもう一つの寺(本立寺)の住職を兼務するようになり、約二十二年振りにゴルフをすることとなりました。というのも、私の父がその寺の住職をしていた時の昭和四十年代から、寺主催で檀家対象のゴルフコンペを現在まで年二回のペースで続けているからで、昨年私が就任する時にも、総代さんやらから「やるんでしょうね」と念を押されました。なぜゴルフを始めたのかは、当時私は結婚もしておらず、寺は暇で、周囲にはゴルフ場や練習場が自動車で三十分以内のところにあったからです。ブルジョアの遊びのようで内心では少なからず抵抗もありましたが、誘ってくれる方もあって、スポーツとも思って一生懸命しました。三十歳頃のことです。リスタートして一年半が経ち、周囲からの遠慮のない叱咤激励によって対抗心も起こり、一つでも打つ玉を少なくしたいと精進に精進を重ねますが、如何せん三十歳と五十歳とでは、頭は多少とも経験や知識を重ねましたが、頑迷さからか素直さを失い、身体は柔軟さを失い指導を実践することを拒むようです。練習もさることながらコースでは、必ず結果が出ます。多少の言い訳や、自分への慰めをしますが、現実は如何ともならず、数字にうなだれること頻りであります。そんな折に先輩から、一ラウンド十八ホールの結果を考えながらプレーするのではなく、三ホールごとに目標を設定して、それを六回重ねることをしてみなさい、との助言を得ました。なるほど、十八ホールは私には遠大でありましたし、結果が悪くとも、また次のコースを周ったときに頑張ればいい、で終わっていました。

 私の「変えたい」も遠大であったようです。社会を変えるためには、現在責任を持っている寺を「変えたい」。なによりも「自分を変える」そして、日々の精進を「忘れない」、一回だめでもやめずに「続ける」。そんなことを遊びを通して学んでいます。

 これから冬本番を迎えます。どうぞご自愛ください。

「延寿」366号 掲載