21世紀 1/5

 21世紀は既に20年目となりました。私は1967年生まれです。小学生の頃には時々SF(科学的空想)小説を好んで読んでいました。今から思えば世紀の終わりを意識したハルマゲドン(終末論)的な内容のものもありました。『鉄腕アトム』は私の世代ドンピシャではなく再放送ですが、『マジンガーZ』『宇宙戦艦ヤマト』『ガンダム』のように科学万能でかつ戦闘物を愉しんで見、プラモデルを作り遊びました。今でも放送している『笑点』『大相撲』『水戸黄門』や『ドリフ』『欽どこ』はお茶の間の定番で、その団欒は学校でも共有されました。昭和そのものだったのでしょう。

 私は幸いにもなのか、大勢の家族と僧侶とで暮らしてきました。ところが今の食卓は、なるべく同じ時間に食事を摂ることを避け、向い合せで食べるときにはアクリル板を立てています。当然、会話は極力少なくしますので、あっという間に終わります。科学万能な未来が、昭和を引きずっている者からすれば非人間的な生活となりました。東日本大震災による福島原子力発電所の重大事故や気候変動による災害多発によって明らかになった現象を、課題として俎上に載せ解決しなければ、さまざまな問題がこれからもあれこれと現出し続けることでしょう。これを対処療法で弥縫していくのでは追いつきません。

 「おひとり様」「独居老人」はまれな人を指す言葉ではなくなりました。同居人がいてもアクリル板で囲まれた生活をしなければならないのかもしれません。20世紀の終わりに「循環型社会推進基本法」が施行されています。それから20年が経ってしまっていることを、どう考えたらいいのでしょうか。延寿院を想い描いた21世紀のお寺に近づけていきたいと思っています。

「延寿」371号 掲載