NPO会報に寄せて

 新宿への毎日の通勤をしなくなり3年近くが経ち、ご時世柄も遠方へ出向くことを避け、必要な会議でも書面決議やリモートで行うようにしていますので、八王子で過ごすことがとても増えました。生活圏の中で仕事も遊びも充足できていることが本来のあり方なのだろうと得心するようになりました。当たり前のことですが一生は一度ですから、少しの余裕とユーモアを持ち楽しく過ごしたいと思っています。

 昨年から八王子市のブランドメッセージ『あなたのみちを、あるけるまち。八王子』を活かした街づくりを、私が住職をしている寺(本立寺)が主体になり、行政や町会などとも協力をし始めました。

 具体的には八王子駅から徒歩10分足らずの約70坪弱の土地を更地にし、「冒険遊び場の会」の協力を得て、奥多摩での伐採に始まり、その木材を使って東屋や遊具をつくり、そして井戸掘りを大勢の子どもたちと指導をする大人たちとで行ってきました。これから水場をつくり、果物がなる木を植えて3月には完成する予定で進めています。さらにその近くに約100坪の土地に建つ築50年の古民家を大改装して近隣の方々や八王子で活動をする団体の交流の場にしていきます。これらが立地するエリアにはまだ昔からの路地が残っています。行政や大学と協議をし、アスファルトを剥がし、製材の工程で出るチップを撒くことで舗装ができないかを研究しています。路地にオレンジ色のあかりが灯り、足裏にはふかふかした感触と鼻腔には杉の香りが抜けていきます。これが私が思い描く「あるけるまち」です。八王子川口で行っている循環型社会における「終の棲家」ともいえる『東京里山墓苑』の理念にも勿論通じています。

 どうぞ、本年も当法人へのご賛助をお願いいたします。

 元旦より、皆さまのご健勝・無事息災を祈念しています。

「LotusNews」34号掲載

今年も「信たりて宝をなす」

 春の始の御悦びを申し上げます。

 私は本立寺の住職として、地元仏教会や七福神会の仕事もしています。感染拡大が続く中でいかに人々にお寺に来ていただくかを模索し、毎年恒例の元旦から十日間の『八王子七福神めぐり』を行うことにしました。

「御朱印」受付時の「蜜」を避けるために、ビニールの仕切りを設け一定間隔で並んでいただき検温や消毒の励行、予め染筆した紙に捺印してお渡しします。期間中には昨年から始めた八王子中町の芸妓衆による仏前『奉納舞』も正月三日に開催します。LINEによる事前申込み定員制にしました。

八王子市が昨年六月に『日本遺産』に登録され『霊気満山 高尾山 人々の祈りが紡ぐ桑都物語』として観光振興をはかっています。数ヶ月前から市の観光課に、日本遺産と七福神めぐりをコラボしませんか?、と提案をしたところ即答していただき、とても難しい後援登録をいただきました。

このことによって、市内のさまざまな場所でポスターやのぼりの掲示やチラシの配布をおこなうことができ、協賛店が増えホームページに掲載し、市内各所にある「日本遺産ポイント」も含めて「めぐる」際の楽しみを増やしました。例年1万人以上が参拝してくださっていますので、今年はさらに多くの方に「祈りで市内を紡いで欲しい」と思っています。

 今、世界はものすごい速さで変化をしています。セクシャル・ハラスメントに対する「#Me too」運動、気候変動に対するグレタ・トゥーンベリさんの訴え、人種差別撤廃を訴える「ブラック・ライヴズ・マター」といったことは、トップダウンによるヴィジョンの提案では求心力を持たないことを示しているようで、SNSにより個別の問題をいかに意味をもたせボトムアップしていけるかがリーダーに必要な資質になっているのではないでしょうか。地に足をつけた活動が伴っていなければいけないということです。

私のさまざまなその他の活動(学童保育、フードバンク、奨学金給付、プレーパーク)が比較的狭い地域の情報媒体に注目され、取材が増えてきました。延寿院でおこなってきた「里山墓苑」は大きなことを言えば、「循環型社会」を目指す活動で、十年が経ちました。もうひと頑張り、里山保全活動や墓苑の経営に力を注ぎ、そこに集まる方々を共感の同士としていきたいと考えています。

 皆様が心穏やかに本年一年を過ごせますよう、元旦より祈念しております。

「延寿」373号 掲載

本立寺 毘沙門天

七福神めぐり  「毘沙門天」

本立寺では「毘沙門天」を奉安しております。


毘沙門天

上杉謙信が自らその化身と謳ったことで有名な『毘沙門天』は仏教の守護神であり、持国天・増長天・広目天と共に四天王の一人に数えられる武神です。

サンスクリット語では「ヴァイシュヴァナ」という名を持ち、これを音写したものが毘沙門天となります。また「よく聞く所の者」という意味にも解釈できるため、漢訳すると「多聞天」となります。

インドにおいてはもともと財宝神とされ、武人のイメージはほとんどなかったようです。それが中央アジアから中国に伝わる過程で武神・守護神としての信仰が生まれました。
そして威徳無量にして勇気を授ける武運の神として尊崇を集め、開運勝利と共に財宝富貴の福を授ける事で七福神のひとりとなりました。

毘沙門天の姿はさまざまな表現がありますが、一般的に革製の甲冑を身に着けた唐時代の武将風の姿で表され、手には三叉の矛と宝塔を持ち、邪鬼と呼ばれる鬼形の者の上に乗る姿が多く見られます。

毘沙門天と多聞天との呼び名の区別は、四天王をお祀りした際の一尊として像を安置する場合は「多聞天」一体のみで安置する場合は「毘沙門天」と呼ぶのが通例です。

毘沙門天は普通、剣や矛を持っていますが本立寺のお像は長刀(なぎなた)を持つと言う大変珍しい姿をしています。これには長刀で災難をなぎ払うというご利益があります。
毘沙門様に厄災をなぎ払ってもらい、今年一年の安全を御祈願されてはいかがでしょうか。

八王子 七福神めぐり

八王子 七福神 めぐり

八王子七福神めぐりの歴史は古く、約30年ほど前より始まりました。

「八」が末広がりの意味を持つ事や、八王子の「八」にちなみ、八王子では吉祥天を加えた「八福神」として参詣いただいています。

八つの「福」を授かる事が出来る八王子七福神めぐりの所要時間は、徒歩で約3時間ほどです。多くが街中にあり、高低差少ない為とても歩きやすいコースとなっております。

八王子七福神では各寺院で朱印帳に「御朱印」をいただけるほか、八福神の記された「色紙」に一つずつ朱印を頂いて巡ることもできます。

この七福神色紙は7年分集めていただきますと『金色の色紙』を記念に差し上げる事が出来ます。

詳しくはHPをご覧下さいhttps://hachihukujin.net/


開催期間

期間は1月1日から10日間ほどがメインの開催期間となっております。
本立寺では通年受け付けております。(法要や、諸行事の時間を除く)

受付・問い合わせ時間

午前9時 ~ 午後5時まで


H24shikishi 七福神 色紙

gold7年の記念に謹呈いたします

map2[1] 七福神めぐりの地図

謹賀新年

春の始の御悦びを申し上げます

 ちょうど一年前の本紙で医師稲葉俊郎さんの文章を引用しました。実際に書いたのは十二月であり、まだ「コロナ禍」が意識されていない頃のことでした。それから一年経った今だからこそ再度掲載します。

  「わたしたち人間は弱いからこそ、助け合うのです。人が助け合えなくなるのは、弱さを忘れ強いと錯覚しはじめたからでしょう。生命は弱さという支えがあるからこそ強いのです。」

 『はやぶさ2』の使命は、なぜ地球に「水」があるのか?その起源を探ることにあったと報道で知りました。一つではない不思議な「何」かによる連鎖が今であり、さらに未来をもたらします。そのことを多くの人が無意識に気づいていたからこそ、当たり前に何に対してでも「難有(ありがたい)」と言ってきたのではないでしょうか。まだ探査の結果は出ていませんが、恐らく想像するに全くの偶然が「命」をもたらしたに違いありません。

 仏教では覚りの過程として、声聞・縁覚・菩薩という階級を設け(三つの乗り物)、それぞれに必須課題として四諦八正道・十二因縁・六波羅蜜を身につけることを修行としました。それは、身の回りの「こと」に気づき、その「こと」が今だけではなく、空間的・時間的なつながりをも持っている「こと」が判り、その「こと」がより良い方向に向かうように、自らもその「こと」の一部であるという自覚のもとに能動的であり、この「こと」を繰り返し実践し反省(懴悔)しながら、利他の精神に基づく大きな目標を掲げ成就を願う(誓願)「こと」が、菩薩道であり「仏となること」であります。何があってもこの「こと」は間違いありません。ますます『南無妙法蓮華経』とお唱えしましょう。

 皆様が心穏やかに一年を過ごせるよう、元旦より祈念してまいります。

「山風」 85号 掲載