八百年事業について

 昨年(令和二年)の一月に「趣意書」を発送し、本立寺の「日蓮大聖人御降誕八百年記念事業」は始まりました。もちろん、その前から原案を作り、総代世話人と意見を交わし、意義を深めてもらい了承していただいた上でのことでした。今から思えば、その作業が少しでも遅れていたならば、まだ続く「コロナ禍」の影響をもっと強く受けたことでしょう。幸いにして多くのお檀家さんからのご芳志を頂戴し、寄附は目標を越え、「提灯」献灯者も三百と予定を遥かに超えました。

 しかしながら、中心事業である京都大本山妙顕寺様が格護する日蓮聖人御真骨の「出開帳」は延期にいたしました。ステイホームで不要不急のことの開催は自粛され、日常生活でも「黙食」が推奨されている状況下ではとても数百人が集うことはできません。住職だけではなく役員の総意であるとご理解ください。ただし、夢はまだまだ続き膨らんでいます。三月二十八日には、「冒険遊び場の会」の親や子どもたちと共に天神町の寺の所有地(約六十八坪)に造ってきた「ひろば」が開園し、新年度からは八王子初の「プレーパーク」を目指し、奥多摩から切ってきた杉材で造った「パーゴラ」「物見台」、地下水を汲み上げた「水場」「ビオトープ」で暑い夏には水遊びをし、昆虫観察もできます。地面は土を掘り放題、どろんこになって遊べます。近隣には五つの保育園や託児所があり、中には園庭を備えていない園もありますので、小さなお子さんにもたくさん利用してもらえます。寺の客殿二階を活用した地域の小学生(一〜三年生)を対象にした「学童施設」(八王子市「居場所事業」)を今年も継続できることになりました。お檀家さんの大学生への奨学金給付も続けます。昨年はほとんどの大学が自宅からのリモート授業でしたし、アルバイトも無くなって困窮した学生もいたのではないでしょうか。年額十万円を十二万円に増額して給付することにします(給付型)。

 これらのことはお檀家のご理解があってこそできることです。「八百年事業」を延期するということは継続するということでもあります。願わくば来春には全てのお檀家に参加をしていただき「日蓮聖人 八百歳」を祝いましょう。

「山風」 86号 掲載