自然の素材でつくり お返しする

 墓苑の見学会を今年から毎月行うようにしました。『タウンニュース』という地域情報誌のSDGs特集の中で、当会の活動がタイミングよく紹介されたことで、先月の見学会には大勢の方にお越しいただけました。

  私は『暮しの手帖』を購読しています。最新号では探検家であり医師でもある関野吉晴さんのインタビュー記事を読みました。「先住民の暮らしには、素材が分からないものはありません。家の屋根や柱、かごや魚網、弓矢などの道具、薪……、すべて周囲の森から素材を取ってきて自分でつくります。不要になれば、森に置いておくと自然に還る。一方、現代の先進国の家を見回すと、素材が何で、どこから来たのか分からないものだらけ。」「木を切って焼き、その灰を養分にした畑で、主にバナナをつくります。収穫したら自分たちが食べ、その排泄物は肥料になる。それでも2年で土の養分が減るので、別の場所に移動する。50年くらい経ったら戻ってきますが、その頃には森が回復しています。」「現代人は自然から奪って、自分の栄養にしておきながら、何一つお返しをしない。」とありました。

 里山墓苑に関心を持ち、いらした方々とお話をしていると、「この骨つぼの木はどこで育ったものですか?」「本当に土にかえれるんですね」「土が好きなんです」といった声を多く聞きました。会員が少しづつでも増えていけば、この社会はよくなって行くはずです。勇気付けられました。

NPO法人 ロータスプロジェクト代表
及川一晋

「LotusNews」40号に掲載