寒い夜に空を見上げると、雲はなく、しゃきっとした冷気の先の先に、横たわった月やいくつかの時々きらきら輝く星を、まばらに観ることができます。
私の心の中の50年前の空と、ついつい比べてしまいます。当時は光化学スモッグの発生や友だちには喘息の人もいたので、決してよい環境ではなかったのだろうと思われるのに、記憶の印象では、満天の空に時折流星が下の方に向かって飛び、その瞬間に慌てて願いごとを唱えようとしています。たかだか半世紀なのでしょうが、誰かが何かのために営んできたのかを、振り返ることが必要なのではないでしょうか。
年末のテレビ番組で、黒柳徹子さんがタモリさんに「来年はどんな年になりますか?」と訊ねると、「新しい戦前になるんじゃないですか」と答えたと聞きました。漠然とした不安で覆われているのは、どこで何が起こっても我が事とはしない当事者意識の欠如にあるのだと思い知らされました。
インドのマハトマ・ガンジーは、「あなたがすることのほとんどは無意味であるが、それでもしなくてはならない。それをするのは、世界を変えるためではなく、世界によって自分が変えられないようにするためである。」と言われました。
春の里山にはきれいな花々が咲き誇ることでしょう。生命の輝きを見にいらしてください。
NPO法人 ロータスプロジェクト代表
及川一晋
「LotusNews」43号に掲載