一人ひとりに伝えたい

 私は二十八歳の平成八(一九九六)年一月から、八王子市川口町延寿院の住職に就任し、住職になる前に働いていた新宿区常円寺執事を平成十一年四月から務めることにもなりました。振り返ると様々な仕事をさせていただきました。平成十四年には「日蓮宗立教開宗七五〇年」を迎えましたので、建物の改修や新築をいくつかしました。建てるのは業者がしますが、寄付を募る以上は役員への説明やお檀家へのお願いを説得力を持ってできなければいけませんし、業者選定や設計士との折衝には専門知識も必要になります。平成十九年四月からは執事長に就任しましたので、寺全体の経営や他のお寺との交渉も必要になりました。そんな中でも力を入れていたのは記録類の電子化でした。寺には古くからの檀家名簿や亡くなった人の記録、そして各種入金記録や供物施入記録がありました。これらを入力し、お檀家一家一家に割り振った番号(ID)にまとめていきました。そして寺の業務内容をまとめる意味でもホームページ(以降HP)の開設を企図しました。もちろん専門の方に協力をしてもらいましたが、コンテンツとラフデザインは自分で考えました。作りっぱなしで内容の変化がないのは面白くないので、日々の寺や僧侶の考えが伝えられたらと思い、「働く執事の徒然日記 執事の雑感」というブログコーナーを作り、執筆してきました。本立寺住職に平成三十年四月から就任し、同時に常円寺を退職しましたので、そのブログへの執筆は終わりました。

 昨年の当山「お会式」は台風十九号が直撃し、法要の内容を変更せざるを得ませんでした。お檀家の皆さんへ前日や当日に通知する術はなく、誰も見てはくれないだろうな、とは思いつつ当山のHP「お知らせ」に告知しました。それからは寺の公式な見解や立場をもHP上に掲示することは重要なことだと、より強く思うようになりました。従って、今回の「非常事態宣言」への対応も比較的適宜適切に行えたように思います。この災禍が過ぎ去ってくれたとしても、昔から言われてきた「手洗い・うがい」は励行すべきですし、日常を取り戻すためにも「新常態(ニューノーマル)」に取り組んでいかなければなりません。

 間もなくお盆となります。いつものように先祖をお迎えください。ただ、お寺は少し工夫をして「お施餓鬼会法要」「棚経」をいたします。

「山風」 83号 掲載