出会う、ひびき合う

 かつては東京の水がめ「淀橋浄水場」があった柏木。今はそこに50階を超える高層ビルが何本も建ち、日本有数のビジネス街となった西新宿。そのすぐ周辺には日本最大の歓楽街歌舞伎町があり、様々な人種が行き交う大久保百人町があります。そんな雑多な街での活動を表現する媒体として、手から手へと渡すことができる冊子として、年4冊、通巻26冊を作ってきました。

 このことは誰かに会いたい。何かに会いたい。という欲求でもあり、誰にいつ会えるのか、という不安でもありました。人と人とは手が離れることもあれば、手を握りしめることもあるでしょうし、抱きしめ合うことも、笑うことも、涙することもあります。災害がある度に認識されてきた絆の大切さですが、今はどのように結んだらよいのかを問われています。私たちのNPOは歩みを止めません。誰かに会うことを信じ、会いたいと思っている人がいることを信じています。冬は寒く、春は麗らかです。春が来ない冬はない、と言われます。耐え忍ぶからこそ良いことがある、と理解されますが、冬には冬の良さがあり、春には春の良さがあります。それを如何に感じるかは自分次第とも言えますが、友があり、共に歓び合うことでの充実感や満足感はこれからも変わらないはずです。私たちはお伝えする方法を工夫し変えながら、今後も多くの共感の輪を作ってまいりたいと思っています。

「季刊ロータス」25号掲載