NPO会報によせて

 お仏壇がある家には、そこに先祖を祀るお位牌の他に、没年月日・没年齢・俗名・続柄・戒名が筆書きされた「過去帳」が大概あります。同様に寺には檀家物故者を記した記録があり、16世紀後半から19世紀後半の約300年間を整理データ化し始めました。まだ1/5の入力を終えたところですが、改めて、人は死んでいくんだな、繋がっているんだな、とお一人お一人が過ごした時を想像しながら作業をしています。

 私一個人の命は有限であるし、その終わり方がどのように迎えるかはまだ分かっていませんが、世界や地球環境は変化をしながらもまだまだ続いていくはずです。昨年から今年にかけて、私の近親者がお二人亡くなりました。高齢で認知症で施設で亡くなりました。この二年間会うことはできませんでした。棺の中にいる姿で久しぶりに会いました。お二人ともに私がお経をあげてお見送りをしました。そのようなことからか、一族の「家系図」作成を思い立ちました。親戚が集まり、故人の思い出ばなしになったものの、よく判らないこともあったからなのだと思います。役に立ったのは、祖父や曽祖父が「過去帳」に書いていてくれたことでした。私から五代遡ることができ、枝葉の広がりに驚きました。お名前には覚えがあったものの関係性が確認できたことが何故か嬉しくもありました。これで、私の子供たちにも伝えられるようになりました。

 今年もまた里山にはきれいな花々が咲き誇ることでしょう。生命の輝きを見にいらしてください。

NPO法人 ロータスプロジェクト代表
及川一晋

「LotusNews」39号に掲載